呼応

眠れない夜は、夢を数える。
心が震えるのは、本当はわかっているから。
涙が出るのは、また会いたいから。
思い出すのは、私を呼ぶ声。

絡まった時間をほどいていけば、
あの曲のように私を見つけてくれて。
ずっとそんな夜を待っていて、本当に目の前に現れた時、私は何かが動き出すのを感じた。

いつか走った夜。
追いつけなかった夜。
息が切れて、もう手遅れかと、
胸が締め付けられて、辺りを見回して、
此処は何処だろうと、
一瞬全てが暗くなって、
私はただ立ち尽くした。
それでもまた走り出すのは、
私を突き動かす衝動があって、
間違ってないんだと、いつかの私が背中を押すから。

もう大丈夫。
今度は大丈夫。
そう言いたいのに、
言葉はいつも空回り。
掌の文字、握り締める。

だから今日も貴方の名前を呼ぶ。
もう離れたくなくて。
そばにいたくて。
貴方の名前を呟く。
何度も何度も。