コンプレッサー

たまに得も言えぬ悲しみに襲われて、一人部屋の隅で背中が痛くなるまで泣く時がある。心の奥にどうしようもない闇があって、何かのきっかけでそれが顔を出すみたいだ。その時の私は、人生において自分が抱えてはいけないくらいの重いものを抱えてしまったような、既に取り返しのつかない場所に来てしまっているような、そんな感覚に陥るのだ。

私は誰にも優しくできていないのかもしれない。
私は誰かの代用で済む存在なのかもしれない。
突然消えても誰も気づかないのかもしれない。
私の目は、何も見えていないのかもしれない。
私の口は、大切なことが言えていないのかもしれない。
私の手は、何も撫でてあげられていないのかもしれない。

あの日燃やされたリストのように、私の名前は一瞬で消えてしまう小ささなんだろう。
けれど名前を呼んで貰いたくて、倒れてはいけないと踏みとどまる自分が、もう痛々しいくらいに打ちひしがれているような気がして、声を出して泣いてしまうのだ。
誰かに言う時間もない忙しさの中で、日々の生活でやるべきことをこなすことに精一杯な中で、ふと隙間にできた僅かな余白が私に問いかけてくる。

もっと優しい人間になりたい。
押し潰された夜に、切望した朝に、喚く自分を宥める。