リスベット•サランデル

明日はちょっとした記念日である。
素敵なカフェで、美味しいケーキを食べようと思う。
本当は自分の恋愛論について書きたかったのだが、書いているうちに主旨がわからなくなってきたので、書くのをやめることにする。
私はきっと恋愛において特に不器用なのだ。
ここに自分の考えを書くことですら、うまくできない。

こんな妄想をする。
自由で気まぐれなパートナー。普段はお互い自由に過ごす。会いたい時や必要だと強く感じた時、お互い無理をせずに都合が合う時にだけ会えばいい。けれど外の世界に疲れた時には、彼は私の顔を見たくなる。私のそばで充電して、また出発する。心の中ではいつも支えとなる。そしてお互い年をとって羽根を休めたくなったら、一緒にゆっくりすればいい。その頃には尖っていたカドもとれて、少しはまるくなって、自然が豊かな場所で、完全に心も開き合える…。
今の私の理想である。
まるで母親みたいな、そんな愛情かもしれない。
いや、違うのかもしれない。
日々のちょっとしたことやどうでもいい話を聞いてくれるような人がいいのかもしれない。
けれど依存関係ではなく、尊重し合える関係でありたいのは事実だ。

実は、小さな恋をしていた。
あの映画のラストシーンのように、用意したささやかなプレゼントも渡せないままの、せつない恋だった。
リスベットを見ていると、泣きたくなるのは何故だろう。
「またクリスマスね」という台詞が、リスベットにとって最大のジャブだったように、私も自分にできるジャブは打ったつもりだ。
だからあとは、このまま何も言わずにそっと去って、いつか、彼の幸せな瞬間に立ち会うことになった時には、笑顔で祝えるような人間になりたい、と思う。
自分に嘘をつかずに、そう思えたらいいと思う。