テンスとアスペクト

高層ビルのエレベーターが上下しながら営む様々な陰謀。
都会の目論見は人の本質を覆い隠す。
真偽は何時もコートの中で、膨らんでは痩せ細る。
些細な呟き、僅かな視線の逸らし方、行間にある無言の圧力。
そうして目が覚めた午前5時には、ささやかな失敗と安心が残った。

5月のあの日、確かに私は自分の立つ舞台を変えたのだと思う。
ビー玉遊びの連鎖していくようなスピードある展開と、曇ったガラス玉を覗き込むようなもどかしさとの追いかけっこ。
幕間に潜む反対色の不安に、緻密な息苦しさを感じた。
キャストとそれぞれの役は、洗練された台詞でより一層際立った。
斬新な衣装は、時に見境無く本音を露わにした。
然し混沌として見えた伏線が、ある種の絶妙なテンスを刻んでいたと知った時、壮大な舞台装置のカラクリを見せつけられたようで鳥肌が立った。
地味に積み上げてきた継続のアスペクトが、壇場に弦を張る。

そうして様々な要素が共鳴した後の、柔らかな残響音の中に、いつの間にか刻まれていた印たちを見つける。
使い込まれたリノリウムの床に浮かび上がる印は、視点の転換でしか掴むことができないのだと、気づく。
深く静かに落とし込んでいく。
the day close to the end of a year.
AM 1:00……December 2014.
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