アメ ト サダメ

失語症
● 何を尽くしても信じて貰えない時に陥ってしまう事。
● 沈黙。

失明
● 私が抱えている爆弾。
● 色の無い世界。

そして、明けない儘でも良いと思えるような夜の帳を手繰り寄せる。
もしも私が光を失っても、言葉は残ると思っていた。しかし言葉でも伝えられない時は、表情も表現も禁じられた様で心が行き場を失う。
如何か許して。
如何か咎めないで。
其れでもきっと音だけは残るだろう。
良かった、耳だけでも無事で。
私は何時迄もその鼓動を聞く。
鼓膜を震わせる音域にイコライザーを掛けて行く。
突然、脳裏を貫くクラクション。
フランジャーがやや強まる。
途切れ途切れに、
やがて聞こえなくなるモスキート音。
何故、口はひとつしか無いのに耳はふたつ在るのか。
隠さないで。もっとその耳を出して。見せて。

貴方の捜し物は何ですか。
僕達は失った言葉を求めて旅に出る。
自分を呼ぶ声は必ず聞こえる、歯車が噛み合った時にだけ聞き取れる周波数で。
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