my own classic

自分の原点に還ることは容易ではない。
それらはたいてい世間の評価や環境や理想によって歪曲されていて、自分でさえ気づかない。
ただきっと意識の底には自分の核があって、たとえそれが自分の認識と違うものでも偽りなく受け入れられたら、人生の多重性にクラクラするような感覚に出会える。

壁に張り付いて辺りを見回す。
背中に当たる壁は冷たく硬い。
靄がゆっくりと晴れて行く。
一歩、踏み出す。
壁から離れる。
誰かに見せるであろうその背中。
けれど拒否の意味ではなく、恐れがなくなって歩き出せたからこそ見せられる背中だ。
その時たとえ「ひとり」であったとしても「孤独」ではないと思いたい。

そうやって人は動き、様々なことが連鎖していき、記憶も変化していく。
私にある記憶も、あなたからはきっと失くなっていく。
私も今日、擦り切れそうなその記憶を一枚の絵画のように額に収めて、心の奥深くへ封じ込める。大切なこの場所で。
でも悲しい事ではない。
一歩進むために必要な作業であり、今の段階では的確な方法であり、その額縁は恐ろしく美しい。排除ではなく価値ある保存にするためには、今日が最適だ。
もしこれに成功したら、いつかまた私との記憶を見つけてほしいと思う。
でもどちらを選ぶかは、私にはわからない。
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