mirrors

ずっと心を占めていた命題があった。
それは日々、私の思考の中に漂い存在感を放ち続けていたにもかかわらず、私は見えないふりをしていた。それに拘ることが馬鹿げているような気がしたからだ。
しかしそれは、いつも私の中にいた。
私を悩ませ、苦しめた。
もはや悪性腫瘍のようだった。
私はそれに捉われていない自分を演じ続けてきた。私にできる唯一の対抗策だった。

しかし、ふと気づいた。
この厄介で悪いイメージしかない命題こそが、私にとって解くべき課題なのだと。
私が最も大切にしたいものだと。
それに思い着いたのにはいくつかきっかけがあったが、今更ながら改めて直視した時、膿のような激情の奥で光った、小さな光を見つけた気がしたのだ。
私が恋い焦がれ続けてきた光。
いつの間にか霞んだ目では見えなくなっていた光。
もう到底叶うはずがないと諦めていた光。
どうしようもなく欲しかった光。
あまりにも美しい光。
自分には許されないと思っていた光。
疑念というガラクタに埋もれていた光を。

私は自分の深層をやっと知る。
恥ずかしくて曝け出せない領域に、本当の私がいる。
弱くて小さくて、凍えそうな姿で。
泪の海に溺れながら。
それでも尚、見上げていた光を。
私は私の望みを知る。
私は私が大切にしたいものを知る。
自分が自分を知った時、世界は大きく動き出す。