路地裏にて、箱を開けたら。

まばたき。
その瞬間に、揺れる概念。
揺さぶられる一瞬の潤む感覚。
遠くから聞こえる声。
何処に行けば良いかは解っている。
傷ついた身体は、癒しを求めてまるくなる。
小さく小さくまるくなる。

重なった時に行き場を失くした思いを、
痛感した自分の幼さを、
弱さを見せられない弱さを、
上手く表現できないもどかしさを、
唯の記号でしかない文字に記して、
其処には如何程の暗喩もなく、
パイプ椅子に体育座りをして、
映画を観る様に推敲して、
存在を肯定する理由を捜して、
何も感じなければいいのか、
然し其処も私が私である所以であって、
真綿に包まれる夢を見て、
静けさに身を委ねて、
路地裏の隅に、
街灯を背にして、
優しく優しく、
優しく成りたくて、
朝が来ますようにと、
また笑えますようにと、
箱の底に見える小さな光を、
箱の底に見える小さな光を頼りに、
頬を伝う涙を拭う事も出来ない儘、
そっと泣いていたんだ。
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