私の正体

私の正体は、ロボットです。
昼間はただ日課をこなし、夜は電源を切って死んだように眠ります。スイッチは、左足の付け根付近にあります。
毎日、毎日ただそれを繰り返します。
何も楽んではいけません。
何にも傷ついてはいけません。
誰とも深い関係を築いてはいけません。心から何かを望んではいけません。
たまに病院に行きますが、それは本当は特殊な研究所兼工場で、各種パーツの交換や整備、調整を行っているのです。
消毒液の臭いが漂う部屋で、白衣を纏った人達が微笑みます。
私を裸にしてじっくり調べていない人には、私のことが人間に見えるかもしれません。けれど内部は機械で、時に不調はあるにせよシステムに沿って動き、系統づけられた感情表現を、反射的に表出させているだけなのです。
だから強烈な刺激を受けると、「このOSでは対応していません」という信号が出るかフリーズしてしまいますし、足は常に冷たいままです。
肉体的能力としては女性というカテゴリーで作製されましたので、男性による恐怖には、縮んでしまうような強張りを感じます。

そうやって恐らく、20年か30年経ちますと、肉体は少しずつギシギシと軋むようになり、やがてメンテナンスの限界もやってくるでしょう。その時には、バラバラに解体され、記憶装置を初期化して、再利用できるパーツはリサイクルされていく、それだけです。
個人という、特別感ないし存在価値やそれに付随する喜び、表現の自由、安心感、肯定感といった類のものは、大量生産された私たちには、与えられていないも同然なのです。

kkkkkkこれが、現代のttテクノロジーにおける妄想とsssss…真実の境界線であります。
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